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【  2012年01月  】 

第1章≪運命の賭け≫・15

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.30 (Mon)

  鋭い刃物の如き鋭利な双眸。 目で人が殺せるとまで言われる視線を信頼する甥っ子に向け、総司は形良く整った陶器の様な表情を歪ませる。 総司の表情を見て、学は彼に紗月姫を重ね合わせずにはいられない。 ――賭けをしましょう。私と。 総司と同じ台詞を、学は紗月姫の口から聞いた事がある。 共に大きなトラブルに巻き込まれ、共に解決に当たり奔走した時だ。 それは、彼女の切り札的な言葉。 そして、“勝利を確信してい...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・14

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.29 (Sun)

  日曜は、十一時から一真と晶香の結納だ。 本来は本人同士と両親の出席で良いところだが、両家からは姉達も出席する。 そして、一真の強い希望もあり、まだ正式な親族ではないが美春の婚約者として学も出席する事になっている。 結納を行うホテルまで辻川邸から小一時間。時間に間に合わせる為には、遅くとも十時までには話を終わらせて屋敷を出なくてはならない。 話が長くなる事を予想した学が早目に辻川邸を訪れたのは、ま...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・13

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.28 (Sat)

  正直、紗月姫は土曜の朝が不安だった。 朝になれば、神藤がいつも通り挨拶にやってくるだろう。 だが昨晩あんな事があったばかりだ。どんな顔で神藤を見たら良いのだろう。どんな声で話をしたら良いのだろう。 重なった唇。 抱き締める腕。 束の間。二人の気持ちは、確かにひとつになっていた。 いつも通り彼に接する事が出来るだろうか。それと同じく、彼もいつも通りに紗月姫に接してくれるだろうか。変によそよそしくな...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・12

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.27 (Fri)

 「ねぇー、一真くんっ、緊張するねぇ、ドキドキするねーぇっ」 はしゃぐ彼女を見詰める一真の思惑はただひとつ。(かわいいなぁ、晶香ちゃん) 明後日に結納を控え、心待ちにしていた日を思って頬をピンク色に染めるご機嫌の晶香。そんな彼女の頬を両手で挟み、一真はおもむろにくりくりとこねくった。「かっかっか……かじゅまきゅぅんっ、はにっっ?」「晶香ちゃん、かーわいいっ」 彼女としては「一真君、何?」と問いたいとこ...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・11 *R高

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.26 (Thu)

  唇を重ねながら美春の瞼を覆っていた手を離す。 彼女の頬を撫で、髪を梳いて頭を抱え込み、学はより強く唇を重ねた。力強く重ねられる唇の熱さは、まるで学の熱意を表しているかのようだ。 美春はそれをシッカリと受け止めながら、学の身体に腕を回す。この難関を乗り越えるエネルギーが欲しいと切望した学。ならば美春もエネルギーを与えてあげられるように受け止めなければ。翻弄されるだけでは一方通行で彼に満足しては貰え...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・10

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.25 (Wed)

 「ひゃぁぁぁぁぁっ!!」 通常。驚いた時に上げる悲鳴という物は、「わぁ!」や「ええっ!」だろう。 しかし今、美春が驚愕のあまり上げてしまった叫び声は、驚きの悲鳴というよりは黄色い歓声だった。「みはっ! お前っ、何て声を出してるんだ!」 もちろん彼女を求めるままに身体を重ねていた学としては、その反応につい口も出したくなるというもの。てっきり「嘘!」とキョトンッとした可愛らしい表情を見せてくれるかと思い...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・9

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.24 (Tue)

 「はい、どうぞ」 差し出されたミルクティーのカップを両手で受け取って、美春は弱々しくも懸命に唇を引き上げ、無理矢理笑顔を作って見せた。「有難う……」 落ち込んでいる美春の為に、せっかく学が淹れて来てくれたのだから、美春としてはもっと元気良く、反対に学を元気付けてあげられるような笑顔を作りたかった。 けれど、顔の筋肉が言う事を利かない。心では笑おうとしているのに、落ち込み過ぎている身体がそれを許可して...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・8

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.23 (Mon)

  神藤が憤りを見せた「他家の執事」とは、成澤家の栗原の事だろう。 今朝、学園のエントランスで躓き彼に手を取られた事を、神藤は言っているのだ。 紗月姫としては特に気にもせず、事の成り行きを神藤に教えた。神藤もその時は紗月姫に怪我などが無かった事に安堵し、栗原に礼を言いに赴いていたのだが……。 どうやらその出来事は、彼が一日中気にしてしまうほど大変な事だったらしい。「他家の者が……、それも男が貴女に触れた...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・7

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.22 (Sun)

  紗月姫の就寝時間は、二十二時と決められている。 もちろん来客やパーティー、総帥代行など、諸事情でずれ込む事は多々ある。だが、特に予定も無く通常通り邸にいる様な時は、決まりとしてその時間を守らされるのだ。 高校三年生にもなってそれは早過ぎるのではと思うところもあるが、それを決めたのはお世話役の神藤で、また彼はこの習慣をほぼ守らせている。 “ほぼ”であって、“完璧に”と言いきれないのは、紗月姫が時々こっ...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・6

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.21 (Sat)

 「美春さん、君は、この辻川財閥が衰退してしまえば良いとでも思っているのかな?」 美春は息が止まりそうだった。 目の前に居る人間は誰だろう。 カサノヴァの一人掛け用椅子にゆったりとその身を落とし、椅子の高級感にも負けない品格でこの空間を支配する男性。 青年時代から変わらない陶磁器の様に良く整った顔は、まるで作り物のよう。 微かに上がった唇は、彼が微笑んでいるという証拠なのかもしれない。けれど、切れ長...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・5

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.20 (Fri)

 「昨日美春といる時にかかってきた電話は、総司叔父さんからだったんだ。紗月姫ちゃんの婚約者候補が五人選出出来たから、書類を見て欲しいって」 辻川財閥統括本部へ向かう車の中で、学は一連の事情を美春に話した。 しかしそれを話すという事は、今ではなく以前から紗月姫に婚約者候補を選出する話があって、それを学は知っていたのだと美春に教える事になる。 そして当然美春は、学はそんな大切な事を知っていて彼女には黙っ...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・4

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.19 (Thu)

  学はズルイのだ。 紗月姫の父、総司(つかさ)が娘の誕生日に向けて婚約者候補を選出しようとしているなどという話をすれば、美春が根掘り葉掘り訊きたくなるのは当たり前だ。 食事の途中でそんな話になれば、食事の間中その話題で持ち切りになっただろう。美春だって、訊きたい事は全て聞けたかもしれない。しかし学がその話を切り出したのは、昼食を終えて社食を出る寸前だったのだ。 もちろん社食から専務室へ向かう間だっ...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・3

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.18 (Wed)

  成澤咲月は紗月姫のクラスメイトだ。 キツメの印象を与える顔立ちが、そのまま性格に現れているかのような気の強い美人。そういえば聞こえは良いのだが、我儘で高慢なところが少々鼻につく。 ここ数年で急成長した成澤ホールディングスの一人娘だが、家企業の繁栄が彼女のプライドになっているかのようで、常に注目をされていなければ機嫌が悪い。 紗月姫とは性格的にもあまり合わないタイプではあるが、クラスメイトであり、...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・2

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.17 (Tue)

 「紗月姫様、おはようございます」「ごきげんよう。紗月姫様」 か細く、おっとりとした声は、まるで小鳥のさえずり。 そんな声を零し、罪の無い笑顔を嬉しそうに染める少女達の頬は桜色。「ごきげんよう」 そして、そんな少女達に返されるのは“天使の頬笑み”と称される笑顔。その笑顔が返されると、場は感嘆の溜息で満ち溢れる。 名門私立西海女子学園高等部。外国の豪邸を思わせる白亜の校舎は、学校というよりも迎賓館だ。そ...全文を読む

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第1章≪運命の賭け≫・1

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.16 (Mon)

  ――春。四月  思えば、穏やかな日々が続いていた。 相変わらず仕事は忙しかったが、大きなトラブルや問題も無く順調な毎日。 学は専務として、美春は秘書として、とても活力に溢れた社会人二年目のスタートを切っていたのだ。 何と言っても最近一番の収穫は、入社当時から引き継ぎ担当しているスイスの製薬会社との提携契約についての協議が、上手く進行している事だろう。 この件に関しては、去年一度仕切り直しが掛かって...全文を読む

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プロローグ・10≪藤の想い≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.10 (Tue)

 「水野が目を丸くしていましたよ」 神藤の声は、少々厳しい物だったのかもしれない。「邸の中でも、沢山の使用人が出迎えに出ていた事でしょう。その者達を後回しにして、我儘を優先してしまったのですよ? せめて使用人達に一声かけてから……」「だってっ! 早く藤に会いたかったのですもの!」 紗月姫の我儘に対して、お小言を言い述べられるのは神藤だけだ。また、紗月姫も神藤の言う事しか利かない。 邸へ到着し、帰宅の挨...全文を読む

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プロローグ・9≪幸せな最期≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.09 (Mon)

 「おい! 千春!!」 赤ん坊を見ながら目を白黒させていた坊主男は、もちろん千春の言葉に驚きを隠せなかった。 この子を頼む。その言葉の意味を、どう理解しろというのか。 いきなり後部のドアが開く気配がして、坊主男は驚いて振り返る。そこには、エレンを抱きかかえたまま車を降りようとしている千春の姿があったのだ。「千春!!」 もちろん坊主男は焦った。だが千春は振り返らず、ただ迫りくる追手の車を見詰めていたのだ。...全文を読む

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プロローグ・8≪生い立ちの謎≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.08 (Sun)

 「弾が急所を貫通している。機まで……、もつかどうかは……」 千春の呟きが坊主男の耳に届いたのかは解らない。しかし、その言葉の直後、間違い無く車のスピードは上がったのだ。 軍用車はまるで直線道路を進むかのように爆走するが、仮にもここは宮中の中庭。いくら真夜中で人の姿が見え無いとはいえ、このままで済むはずがない。 思った通り、四人が乗る軍用車を別の軍用車が二台、追いかけて来たのだ。「クソがぁ!!」 坊主男は...全文を読む

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プロローグ・7≪理解者≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.07 (Sat)

 「千春!」 窓から外へと飛び出した瞬間、聞こえて来たのは豪快なエンジン音と、これもまた野太い叫び声。 何事が起ったのかを確認しようとする間もなく、ソレは彼の目の前に勢いよく飛び出して来た。「おせぇ! 殺られたのかと思ったぜ!」 そこに現れたのは、ゴツイ戦車の様な軍用車だ。その運転席から大柄で体格の良い男が顔を出し、後部座席を顎でしゃくる。 しかし千春がエレンを抱きかかえ、その腹部に赤ん坊を乗せてい...全文を読む

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プロローグ・6≪希望≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.06 (Fri)

 『貴様!』  この状況を引き起こすきっかけを作った男に、千春の行き場の無い怒りが向けられる。  銃口を向けたのは、ただ一人生き残っている側近だ。彼はエレンが千春を庇って撃たれた事に驚き、その身を固めていた。  もちろん千春は撃ち殺してやるつもりでいたのだ。しかし、その為に伸ばされた腕を、エレンの手が力無く掴んだのだ。 『……やめて……、チハル……』  声を出すのもやっとだというのに、エレンはその身に残る微力...全文を読む

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プロローグ・5≪命を懸けて≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.05 (Thu)

 『愛しています……チハル……』 背中でエレンの声が聞こえた。 いきなり千春の腕から離れ、何故か彼の背中に抱き付いたエレン。彼女が抱き付いた瞬間、とても強い衝撃を背中に感じた。それは決して、彼女が背中に抱き付いたから感じた衝撃ではない。 千春の体に巻き付いたエレンのか細い腕が、彼のスーツを力いっぱい掴む。 細い指。バイオリンの弓を持たせるのも不安になる様なその指が、スーツの生地がシワになってしまいそうな...全文を読む

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プロローグ・4≪ささやかな願い≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.04 (Wed)

 「やはり貴女は王族の恥だ! 生きていてもらう事など出来ない!」 悲痛な叫びにも似た怒鳴り声だった。 男は小柄な体を打ち震わせ、怒りに燃えている。 エレンの側近として護衛班とまとめていた彼は、任務にとても忠実な男だ。それと同時に王族に対する忠誠心が高く、その歴史に深い敬意を示し、エレンを守る事に矜持を持っていた。 “北欧の銀真珠”国内外でもそう称賛される美しさと、素晴らしい銀色の髪を持った王女。 優し...全文を読む

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プロローグ・3≪作られた身分≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.03 (Tue)

 『うわぁっ!』 赤ん坊に銃を向けていた軍人の銃から弾丸が撃ち出される前に、響き渡ったのは絶叫だった。 鈍く空気を切り裂く音と共に、銃が軍人の手から弾き飛ばされたのだ。 銃をはじかれた男は、声も無く身体を固め息を詰める。これは、予想外の事だったのだろう。 まさか側近の陰に隠れている自分の銃が弾かれるとは思わなかったに違いない。 それも、それを弾き飛ばしたのは、正面から捉えるにはあまりにも困難な位置に...全文を読む

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プロローグ・2≪従者の裏切り≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.02 (Mon)

 『でも……、そんな事は……』 エレンの声は震える。 彼女はこの国の第二王女だ。国外から来ていた家庭教師と恋に落ち、その男の子供を身籠った為に王位継承権を剥奪された身分とはいえ、彼女はまだ国に保護をされるべき人間なのだ。 エレンの側近からしてみれば、千春は王女をたぶらかし過ちを犯させた憎むべき男。そんな男と共に、王宮を出してもらえる筈など無いではないか。 しかしエレンは、切に願う。(それが出来たなら、ど...全文を読む

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プロローグ・1≪愛し合う二人≫

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.01.01 (Sun)

 『愛している……』 彼の口からその言葉が出た瞬間、彼女の瞳は水を注がれた様に潤んだ。 蒼味ががったグレーの瞳は、潤みを湛えるとプラチナ色に輝く。その瞳が見詰めるのは、彼女を抱き締める彼の姿だ。『……嬉しい……』 彼女は切ない声で喜びを漏らし、彼の胸にしがみつく。そして、肩を震わせて泣き出した。 大きな窓からは、月明かりだけが部屋の中へ入り込んできている。広大な宮殿は真夜中の静けさを湛え、部屋の中を満たす...全文を読む

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