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【  2012年04月  】 

第6章≪嵐の夜≫・2

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.30 (Mon)

  総司は機嫌が良かった。 本人はあまり自分の様子など気にしてはいなかったのだが、執務室に入った第一秘書が、「御機嫌ですね」と笑顔を見せたので、思ったよリも顔面に笑みが浮かんでいる事に気付けたのだ。「今日は、どうも良い事が有りそうでね」「おや? 奥様とお出かけの御予定でもありましたか? 伺っておりませんでしたが、御帰宅の準備を致しますか?」 秘書は少々慌てて総司へと向き直る。総司の口から出る“良い事”...全文を読む

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第6章≪嵐の夜≫・1

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.29 (Sun)

  ――それは、数時間前……。 菱崎家を飛び出した信は、車に乗り込み、エンジンをかけるより先に学へ連絡を入れようとしていた。「繋がれよ……。繋がってくれよ……」 眉を寄せ、厳しい表情で呟く様は、まるで呪文だ。 学は既にD王国入りしている。時差的に向こうは正午を迎えたところだが、学の計画通りに運んでいれば、午前中には女王への謁見が済んでいるはずだ。 しかし、もしも、予定通りに運んでいなかったら……。 謁見に必要...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・15

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.28 (Sat)

  美春が辻川に狙われる。 それは、最初から危惧されていた事だ。美春自身それを理解し覚悟もしていた。 だが正直、ここまで追い詰められるとは思ってもいなかったのだ。「学……、どうして分かったの……?」 学の声が聞けたのは嬉しい。彼だって大変な仕事をしているのに、美春を案じて気を回してくれたのももちろん嬉しい。 けれど、何故学は美春の危機を知る事が出来たのだろう……。『美春。涼香さんに感謝しろ』「涼香?」『涼...全文を読む

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桜・5『嬉しいですか?』

恋桜~さくら~・3

2012.04.28 (Sat)

 「ひゃっ……!」 我ながらおかしな声を上げ、私は両肩を竦めた。「はっ……はじめさっ……」 戸惑いつつ振り向こうとするけれど、それが出来ない。何故かといえば、髪を寄せたうなじに一さんの唇が触れているから。「動くな」「……はっ……はいぃ……」 静かな声で言い渡され、私はつい従ってしまう。 条件反射というか何というか、一さんに何か言われても絶対に逆らえないのは、幼い頃から実家のお母さまに施された、大和撫子教育の賜物...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・14

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.27 (Fri)

 「御苦労だった」 最後に労いの言葉を加えて章太郎への命令を解除した総司は、手元のパソコンで通信を切り、デスクから立ち上がった。 深く息を吐き、執務室の大きな窓辺へと歩み寄る。 地上二百メートルから見下ろす下界は、生きている証を示すよう懸命に輝く地上の星。彼はいつもそれを見下ろす存在であり、見下ろす事を許された人間だ。 ――だが、今日だけは違った。「……まったく……。この私を脅すとは……」 総司は楽しげに呟...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・13

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.26 (Thu)

 「お風呂、先に入っちゃおうかなぁ」 いつもは冴子が一人で入ると「駄目だろ、一緒に入るんだから!」と怒るが、今夜は待っていたらいつ入れるか分からない。 それでも、彼はもうすぐ帰って来る。「ただいま、冴ちゃん」そう言って、悪戯っ子の様な昔張りの笑顔で笑ってくれる。 そう信じたい冴子は、ソファに座り直した。 それでも、少し落ち着く為にコーヒーでも淹れようかと考え、雑誌をローテーブルに置いて立ち上がる。「...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・12

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.25 (Wed)

 「流石は大財閥様だ。警備員もなかなかの粒揃いじゃないか。結構楽しめたぜ」 一応は褒め言葉に聞こえなくもない。だが櫻井は汗ひとつ掻いていなければ、スーツに乱れも無いのだ。 警備員六人を相手にした彼ではあったが、その結果は言うまでもなく一人勝ちだ。動けなくなった六人をエレベーターに押し込め、急いで駆け付けた。 そして彼が見たのは、動けない須賀の手を踏み潰そうとしている章太郎の姿だった。「葉山製薬秘書課...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・11

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.24 (Tue)

  元々料理をするのは好きだ。 好きな人を想いながらだと、テーブルの準備まで楽しく感じる。 裾に黒猫の後ろ姿がプリントされたエプロンは、シンプルだが悠里の雰囲気に似合ってとても可愛らしい。 彼女はポケットから携帯を取り出し、メールが来ていないかを確認した。 メールが来れば音で分かる。だが、“メールが来ているのに自分が気付いていなかったら困るから”という意味での確認なのだ。「どのくらい遅くなるのかな……」...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・10

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.23 (Mon)

  傍観者となった須賀の目に、それは一瞬の出来事の様に映った。 エレベーターの中に居る男達が降りて来るのを阻む為、逆に櫻井が中へ突進して行ったのだ。 降りようとしていた三人を両腕で首から捉え、一度中へ押し込み反動を付けて身体を反してドアの間に投げ飛ばす。 三人が転倒した瞬間ドアが閉まったが、須賀が言っていたように、セキュリティを切られたエレベーターは、障害物があっても止まる事は無く三人を挟み上げた。...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・9

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.22 (Sun)

  空のティーカップを携えて背を向けようとした章太郎へ、美春は慎重に問いかけた。「……水野さんは、神藤さんと親しいんですよね……」「彼とは、同時期にお付きとしての教育を受けました。彼は十二歳、私は十七歳で年齢に開きはありましたが、同い年の友人の様に、時に兄弟の様に鍛錬し合ったものです」「では、神藤さんの気持ちは……、御存知ですよね?」 代々、辻川家執事を務める一族の息子である章太郎は、生まれた時から辻川家...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・8

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.21 (Sat)

  最初に浮かんだイメージは、雲の上。 ふわりとして温かい感触。幼い頃夢に見て想像した、“雲の上にいるみたい”な気分だったのだ。 身体の感覚が戻って来ると、そんな気分になってしまった理由が分かって来た。 どうやらソファに掛けられていたムートンの上に寝かされているようだ。全身が柔らかな長い毛足に包まれ、ふわりふわりとした肌触りを感じる。 肌の上にもサラリとした感触。軽いのに、空気を含んでとても温かい。(...全文を読む

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桜・4『似合いますか?』

恋桜~さくら~・3

2012.04.21 (Sat)

  なんだか胸がドキドキしてきた。 一生着る機会なんて無かっただろう物を着られた緊張感と、恥ずかしさ。 まるで、生まれて初めてお洋服を着た時の様な……。そう、これは、初めて一さんに会った時、彼に選んでもらったお洋服を着た時と同じような感覚。 そう思うと私は、早く一さんに見て欲しくて堪らなくなった。 急いでバスルームのドアを開け、彼の前へ飛び出していこうとした私は、ドアを開けた形のまま身体が固まる。 ド...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・7

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.20 (Fri)

 「芍薬(しゃくやく)……」 視界に入る大輪のピンク。その鮮やかさで視界を塞ぎ、涼香は“仕事”に向かう信の足音を聞いていた。 きっと信は、牡丹の花に似ているからという理由で芍薬を選んだのだろうと察しを付け、フッと口元が和む。「私に心配かけないようにって……。何かあっても、いつも仲間外れにするんだから……」 小さく笑って芍薬の花びらを摘まむ。まるで意地悪をして美春の頬を摘まむ時の様に。「人の事ばっかり考えて……...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・6

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.19 (Thu)

  花に目を惹かれたのは、とても久し振りだったのではないだろうか。 車を菱崎家の門に寄せて停め、信は助手席に置いた花束を見て考える。 薄暗い車内。それでも一際鮮やかさを湛える、ピンク色の芍薬(しゃくやく)。 高校二年の時だった。文化祭の準備で涼香が持って来てくれた芍薬を牡丹の花と間違え、彼女に笑われてしまった。 その後、図書室へ引っ張って行かれ、植物図鑑を目の前に三十分以上、牡丹と芍薬の違いについて...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・5

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.18 (Wed)

 「二人が来たらどうするの? ……私と、“同じような部屋”に閉じ込めるの?」 美春は声が震え出さないようトーンを抑え、章太郎に問いかけた。 彼女が部屋の仕様に気付いたらしい様子を察し、章太郎は手に取ったまま放す事を惜しんでいた美春の手に再び唇を寄せ、今度は指先に唇付けて賞賛を表す。「流石は美春様。良くお気付きになられました。――もちろん、同等のお部屋へ御案内致しますよ。BGMも何も無い、……静かなお部屋へ……」...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・4

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.17 (Tue)

  久我山が部屋を出ていくと、若いメイドが一人入って来た。 ティーカップを片付ける為に入ったようだが、久我山の物はともかく紗月姫が全く口をつけていないのを見て、戸惑いの表情を見せる。「あの……、お嬢様? 何か、違うジュースでもお持ちしますか?」 紅茶が冷めてしまったからではない。神藤以外、紗月姫の好み通りに紅茶を淹れられる者はいないのだ。その為、彼以外が淹れた紅茶を、彼女は滅多な事では口にしない。その...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・3

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.16 (Mon)

 「しょうがない事です。ここのところ、色々な出来事が立て続けにあり過ぎましたから。心の御機嫌が良くなるまで、しばらく学校はお休みになったらいい。授業なんか受けなくても、紗月姫さんに留年の心配なんて無いでしょうしね」 相変わらず和やかな笑みを見せる久我山だが、今の台詞の意味をどう取ろう。 紗月姫の頭脳を持ってすれば、留年など有り得ない話だと取るのが普通だが、捻た考え方をするのなら、「辻川財閥の令嬢を留...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・2

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.15 (Sun)

  美春は、辻川の人間を警戒しているはずだ。 紗月姫や神藤などは例外だが、もしも辻川の人間が迎えに来たとしても、簡単に着いて行く筈がない。 それなのに就業時間内に連れ出されたという事は、美春が行かなくてはならない、何かが有ったと考えるのが妥当だろう。 スマホを腰のホルダーへと収め、櫻井は須賀に視線を移した。「須賀さん、今日はデート?」「へ? いや、デート、ってほどじゃ……。部屋には来る事になってるんで...全文を読む

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第5章≪囚われの姫君≫・1

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.14 (Sat)

  ――その瞬間、二人の男が同時に動いた……。「どうした? 須賀」 会話中、いきなり立ち上がった須賀に、同僚の木村が訝しげな声をかける。「いや、ごめん。何でも……」 そう言いつつも、自分のデスクに置いてあったスマホを取り上げた彼の表情は神妙だ。缶コーヒー片手に油を売っていた同僚の木村が、笑いながら冷やかした。「何だ? ゆーりちゃんから愛のメールでも入ったか? それにしても、何か音が変だぞ?」「ああ、何か異...全文を読む

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桜・3『着ても良いですか?』

恋桜~さくら~・3

2012.04.14 (Sat)

  その返事にまたもや言葉を失うも、逸らした視線を戻す隙も与えられないままに、私は一さんに抱き締められた。「パーティーなどで大人が話しかけて来てもこんな気持ちにはならんが、どうも同年代の男がさくらに近付く事を考えると虫唾が走る。イライラして嫌な気分だ」「……だって、あの、近付かれるとは限らないでしょう? 特別編入、って言っていたし、かえって珍しがられて敬遠されるんじゃ……」「さくらみたいな可愛い女の子が...全文を読む

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桜・2『制服ですか?』

恋桜~さくら~・3

2012.04.11 (Wed)

  正に鶴の一声。 それと共に、ずっと黙っていたお母様が足元に置いていた大き目の箱をテーブルの上へ置いた。 真っ白な箱は、よくオーダーでお洋服を作って頂いた時に入って来る箱によく似ている。するとお母様はそのものズバリの中身を口にした。「良かったわぁ。一さんなら分かって下さると思っていましたのよ? せっかく制服まで作ったのですもの。無駄にならなくて本当に良かった」「ええっ!」 思わず驚きの声を上げつつ...全文を読む

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桜・1『学校ですか?』

恋桜~さくら~・3

2012.04.04 (Wed)

 「さくらちゃん、学校へ通ってみる気はないかい?」 それは、葉山のお父様が発した一言から始まった。「はい? “学校”ですか?」 失礼ながら、私は少々キョトンッとした顔で言葉を返してしまった気がする。 学校へ通うなんて、昔から考えた事も無かったし、第一、通った事もない。 村にいた頃も。この、葉山家へ来てからも……。  安定した老舗大企業と名高い、葉山製薬の跡取りである葉山一さんと婚約し、生まれ育った桜花村...全文を読む

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第4章≪辻川の刃≫・15

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.04 (Wed)

  須賀から受け取った携帯で、美春の方から危険を知らせる為には、携帯側面のスイッチを入れなくてはならない。 そうすれば、櫻井と須賀に美春の現在位置を強制的に知らせ、彼女が置かれている周辺の音声まで拾って伝えてくれるのだ。 だが美春は、今それが出来ない。 乗せられた車には、章太郎の他に運転手が一人だ。後部座席に乗せられた美春の隣には章太郎が座っている。ポケットの中へ無意味に手を入れるような動作は命取り...全文を読む

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第4章≪辻川の刃≫・14

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.03 (Tue)

 「何見てるの?」 控え目な声が須賀の手元を覗き込む。それと同時に彼の横には、大きなマグカップに淹れられた特製コーヒーが置かれた。「有難う、悠里ちゃん」 どんなに忙しい仕事を持ち帰っても、コーヒーを出した時には必ず手を止めてお礼を言ってくれる彼。 市橋悠里(いちはしゆうり)はそれが嬉しくて、構って欲しい時にわざとコーヒーを出したりもする。――実は、今もそうだった……。 仕事を終え、須賀が帰った所は自分の...全文を読む

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「恋桜~さくら~・3」前書き・あらすじ・登場人物

恋桜~さくら~・3

2012.04.02 (Mon)

 ●前書き●(本編は2012/7/27完結済です)  本作品には、R-15に相当する性表現があります。  該当話には、あらかじめサブタイトルに表示させて頂きますが、苦手な方はご注意頂きますようお願い致します。  本作品は、歳の差カップルの恋愛物語となっており、ヒロインが十代という設定です。  未成年者を設定しての性表現や、歳の差、などに嫌悪感を持たれている場合は回避して頂きますようお願い申し上げます。 ●あらすじ●  ...全文を読む

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第4章≪辻川の刃≫・13

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.02 (Mon)

 「そういえば、今日は神藤君の姿が見えないですね」 何気なく気付いた事を口にしたのだろうが、久我山の質問は紗月姫の心を揺さぶった。「……ええ。今日は、本部へ行っています。……本部での仕事も、持っていますから……」「そうですか。……でも、紗月姫さんの体調が思わしくない時に行くなんて……」「少々気分が優れないだけですわ。病気ではありません」 視線を下げ、切なさに膝で握り締められる両手を見詰めていた紗月姫だが、その...全文を読む

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第4章≪辻川の刃≫・12

理想の恋愛 完璧な愛・第11部

2012.04.01 (Sun)

 「学君は、今日発つらしいな……」 書斎の大きな窓から外を見詰め、そこから射し込んで来る午前の陽射しに、総司は目を細めた。 神藤の出生に関する決定的なものを持ち帰ると、自信に充ち溢れていた学。その頼もしい姿を思い出し、総司は陽射しから逃げるように瞼を閉じる。 彼は間違いなく、自分が成すべき事をやり遂げるだろう。 賭けをした時点から、総司は負けを覚悟していたところもある。いや、負けを想定したうえで、賭け...全文を読む

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