「理想の恋愛 完璧な愛・シリーズ(第7部~第11部)」
理想の恋愛 完璧な愛・第11部

【もしも企画】番外編『僕のお姫様』act.8

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「まっ、学君っ、落ちる、落ちるっ!」
「大丈夫だよ。落とさないよ」
 焦る美春に余裕の学。だが、美春の焦りは半分照れ隠し。
「僕、結構力もちなんだよ? 美春くらい持って歩けるよ」
「もっ、持たれたの初めてだから知らないもんっ」
「大きくなってからはさ、抱っこするのも我慢していたんだよ。“悪い大人”になっちゃいそうだったから」
「学君っ」
 会話の通り、美春は今“持たれている”のだ。それも、女の子なら誰もが憧れる「お姫様抱っこ」で。
「この瞬間まで我慢するって決めてたんだよね。結婚式が終わって部屋へ移動する時。その時に、初めて美春を抱っこして行くんだ、って」

 今日は、学と美春の結婚式だった。
 午前中に籍を入れ、挙式の後は盛大な披露宴が催された。
 ウェディングドレスを三回、カラードレスを五回替えるという、着せ替え人形さながらの状態ではあったが、着替えるたびに学が「可愛い、可愛い」を連発してくれるので、美春も頑張った。

 披露宴が終わって、ふたりは今夜の愛の巣となるスイートルームへ移動中だ。
 美春はミニのウェディングドレス姿、そして学はタキシードのまま、エレベーターに乗る前に美春をお姫様抱っこで抱き上げ、見送り隊に冷やかされながら部屋へ直行となった。
 小さな頃には抱っこをされる事もあったが、小学生くらいからは抱っこをしてもらった記憶が無い。いきなりお姫様抱っこなどをされて歩かれたのでは、美春の気持ちとしては照れ臭いのだ。

 普段穏やかで、あまり男臭さを感じさせる事も無い学。
 しかし、抱き上げる腕は力強く、美春を抱きかかえても、尚、スラリと背筋を伸ばして軽々と足を進める姿は、誰の目から見ても頼もしさで溢れている。
(学君……、カッコイイ……)
 美春は学の腕を感じ、鼓動の速度を上げっぱなしだ。

 スイートルームのドアの前で下ろされるのかと思っていたが、予想は大外れ。彼は美春を抱きかかえたままカードキーでドアを開け、するりと中へ入った。
 そして部屋のドアが閉まるのと同時に、美春の唇にキスを落としたのだ。
 それも、今までした事の無い、ちょっとルージュが取れてしまいそうな強めのキスだ。
「ま……学君……」
 唇が離れると、美春は赤くなって俯く。頭の上でクスリと笑う声が聞こえるが、あまりにも照れくさく「笑っちゃ駄目」と怒る事も出来なかった。

 メインルームへ入り大きなソファへ向かったので、ここで下ろしてくれるのかと思ったが、学は美春を抱きかかえたままソファへ腰を下ろしたのだ。こうなると美春は彼の膝に座ってしまっている事になる。
「ねぇ、学君、下ろしてくれないの?」
「ん? 下ろさないよ? 今夜は朝まで美春を抱っこしてるって決めてるんだ」
「恥ずかしいよぉ、……嬉しいけど……」
 美春の感想は正直なところだろう。学はクスクスと笑い出した美春の額に唇を付ける。
「こんな事で恥ずかしがらないで。これで恥ずかしがられたら、僕、この後何も出来ないだろう?」
 ピンっと美春の背が伸びる。メイクをしていても分かるくらい顔は赤面し、大きな目を見開いて学を凝視した。

 美春だって考えてはいたし、その事に対して緊張もしていた。
 けれど学の口から言われると、急に現実味が湧いてドキドキしてしまう。

 今夜は、新婚初夜なのだ。

 キス以上をした事が無い二人にとっては、ある意味初夜という言葉に感慨深いものを感じる。
 もちろんだが、それに加えて美春はヴァージンだ。彼女が緊張して恥じらってしまうのも、当然の事だろう。
「学君、あのね……」
「うん?」
「美春ね、…、あの、初めてだから……、やっ、優しくしてね……」
「うーん、自信ないなぁ」
「ええっ!?」
 意外な言葉に美春は驚く。どんな時でも何があっても、ひたすら美春に優しい学。
 まさかこんな場面で、優しく出来るかどうか分からないなどと言われてしまうとは。
 不安に顔を歪め、開いた口が塞がらない美春。しかし学はにこりと笑って彼女の肩を抱き寄せた。
「だって、初めて美春に触れるんだよ? 平常心でいられると思う?」
「そっ、それでも……、やだっ、学君、恥ずかしいっ……。まっ、学君は、なっ、慣れてるかもしれないけどっ、……み、美春、っ、この後の事とか考えたら、きっ、緊張して堪んないのにっ……。……緊張しない魔法、学君に掛けて欲しいくらいなのにっ……」
「魔法かぁ……。残念だったなぁ、僕さ、魔法使いになり損ねたんだよね……」
「は?」
 魔法使いとは、いきなり何の話だろう。ゲームか何かの事かとキョトンッとした美春に、学はにっこりと王子様スマイルをくれた。

「男はね、三十歳まで女の人を知らない身体でいると、魔法を使えるようになるって俗説があるんだ。あと二年だったんだけどね。残念だなぁ、結婚して二年は我慢出来ないもん、ごめんね、美春」

 美春はキョトンッとしたまま言葉を失う。
 一瞬、学が何を言っているのか把握出来なかったのだ。
 しかし一応その意味が分かった美春は、今まで以上に真っ赤になって「ひゃぁぁっ」とおかしな声まで上げてしまった。
「まっ、まっ、まっ……まなぶくんっ、……って……、ええええええっ!」
「何?」
「だっ、……だって……、学君、カッコイイし、お坊ちゃんだし、大人だしぃ、そっ、そういう人って、普通に、……おっ、お付き合いで、そういう事する御商売の女の人がいるお店とか行くって……」
「行った事無いけど?」
「えええええええええっ!」

 意外な事実に、美春は叫びっぱなしだ。
 十六年前に婚約した二人。美春は勿論学に操を立ててはいたが、まさか学まで、そういう意味でも“美春一筋”とは……。
「だって、美春の可愛いところを小さな頃からずっと見てるのに、他の女性に欲情なんか出来ないよ」

 驚きはしたが、美春は段々と嬉しくなる。
 本当の意味で、学は美春だけの王子様でいてくれたのだ。
「美春の為に、魔法を使えるようになれなくてごめんね」
 そんな話は俗説。本当に魔法使いになれるなら、学は美春の為に喜んであと二年待っただろう。

 美春は嬉しそうに笑みを作り、学の首に腕を巻き付けて、自分から唇を合わせた。

「学君は、十六年前から、いつでも私を幸せにしてくれる、私の魔法使いだよ」

 可愛らしいキスを受けて、学も唇を近付け返す。
「美春は、十六年前から、僕の可愛いお姫様だよ」

 唇が触れ、熱い吐息が絡まった。

「これからも……、一生……」

 幸せに包まれた二人。
 十二歳差の王子様とお姫様は、蕩けるくらいの甘い幸せを、これからも紡いでいくのだ。




     【もしも企画】
     『僕のお姫様』

      ――END―― 






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後書き

 こんにちは。玉紀 直です。
 美春ちゃんじゃないけど、「ひゃぁぁぁ」(笑)
 いや……、28歳までドーテーの学君ってどうなの……。とか思いますけど、このパターンなら有り得るかな……、とか思ったりもします。
 ちっちゃい頃の性格(リトルシリーズの)のまま育っていれば、寝ても覚めても美春ちゃん一筋ですから……。
 本編は、同い年であるがゆえに、色々とずれていってしまいましたが……。
 なんにしろ、らぶらぶハッピーエンドは良いものです。( 〃▽〃)

 【もしも企画】「もしも、学と美春の歳が12歳差だったら」
 『僕のお姫様』楽しんで頂けましたでしょうか。
 いや、なんつーか、健全なお話だったなぁ……。(笑)

 さて、これにて、第11部は完全に終了となります。
 投稿サイトの方はキリリクの公開があるので、更新は続きます。^^ 
 ここまで読んで頂き、誠に有難うございます。
 しばらくしたら、第12部のあらすじページなども公開致しますね。

 また、宜しくお願い致します!





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~ Comment ~

直さん、こんにちは(*^▽^*)
番外編ありがとうございました!!

リトルなまんまの学クン。健全で一途すぎる(本編でも一途ですが(笑))
ある意味、本編の方が健全なような気がしないこともないですけど(笑)

こんな二人もありですよね。本編より、よりお姫様待遇な美春チャン。


大介サンのお気持ちはお察しします…(_ _)


パラレル楽しかったです。ありがとうございました!

みわさんへお返事です8/31

みわさん、こんにちは!

 番外編、読んで頂き有難うございました!
 楽しんで頂けたようで良かったです。^^

 怖いほど一途な学君。
 変に考えると、本当に怖いかも。(笑)

 私も書いていて、とても楽しかったです。^^

 第12部も、宜しくお願い致します。

 有難うございました!!

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