理想の恋愛 完璧な愛・第12部(完結編)

第2章3(綺麗な背中)

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「そうですね……。はい、メールを入れてみます。返事次第で、それなりの対応を……」
 学の口調から、何か深刻な事態だという事は分かった。
 スマホを取る前、「父さんからだ」と呟いたのを聞いて、美春は刹那、首を傾げた。デート中に電話がかかってくるなど珍しい。

 ベッドの中でじゃれ合っていた途中で、美春が「お腹すいた。部屋にあった巨峰食べたい」と我儘を言ったので、学がメインルームから取って来てくれた。「剥いてあげるね」と笑いかけた時、電話の着信が鳴ったのだ。

 大きなベッドの上、うつ伏せに横たわる白い肢体を隠すのは、薄いシーツだけ。
 それも別添えの物を無造作に引いて被っているので、肩から太腿の辺りまでしか隠れてはいない。その自由感からか、さっきから美春の両脚はパタンパタンと膝から下が上下運動をしている。
 肘で上半身を支え起こしたまま、手元に置いた器の中で剥いた巨峰をひとつ口に入れる。キュッと噛めば、甘くとろりとした液体が味覚を満足させてくれた。
 その豊潤さに笑顔を零し、話しをしながらベッドルームの窓辺へ歩いていく学の後ろ姿を追った。
(もぅ、しょうがないなぁ……)
 苦笑いが浮かんでしまうのは、彼が裸であるが故だ。
 ガウンを羽織る訳でもなく、ベッドから出てそのまま動き回っている。
(男の人って、皆そうなのかなぁ……)
 ふたりきりなのだし、遠慮をする必要もない。身体の隅から隅まで確かめ合っている仲なのだから、裸で動き回ろうと文句がある訳ではないのだが、美春は一応、ベッドから出る時は上に何かを羽織ったり、タオルやシーツを身体に巻いたりする。「隠さなくて良いぞ」と言われた事はあるが、やはり少々羞恥心というものが疼くのだ。
(今度涼香に訊いてみようかなぁ。……でも田島君って、やんちゃに見えても結構潔癖症で真面目だから、絶対に全裸でウロウロするタイプじゃないわよね。その前に、そんな事したら涼香に怒られそう……)

 ぼんやりと考え事をしながらも、いつの間にか学の後ろ姿に見惚れてしまう。
 身長が高い分、肩幅も広く背中も広い。程良く筋肉が引き締まった裸体は、見ているだけでぞくりとする。
(学、背中も良いけど、腰の線が綺麗だよね……)
 肩甲骨の動きに見惚れていた目は、だんだんと下へ移動していく。腰から臀部を繋いで太腿へ。名称は同じではあっても、その形態は女性とは異なるものだ。そんな部位に、男の色気を感じずにはいられない。

 巨峰を口に押し込んだまま見惚れていると、通話を終えた学がふいに振り返った。
 慌てて目を逸らそうとしたが間に合わず、つるりと不用意に入り込んだ巨峰が喉に詰まりそうになる。
「……何やってんだ、美春」
 両手で口を押さえ「何でもない」と誤魔化すが、大き目の実が幅を取って上手く言葉にならなかった。そんな美春を見ながら、スマホ片手に学がベッドに乗ってくる。
「どーせ、俺の後ろ姿に出も見惚れてたんだろ?」
「な、何よ……、その自信はっ……」
「俺もよく、美春の腰から尻のラインに見惚れるから」
「えっ、えっちっ」
「何だよ、褒め言葉か」
「もぅっ、バカっ」
 ふたりの笑い声が重なる中、学が巨峰の入った器からひと粒摘まみ上げる。皮を剥いて置いてあった物が五粒あるというのに、彼が取ったのは皮が付いたものだ。取り替えてあげようと手を伸ばした美春だが、その前に伸ばした手を掴まれてしまった。
「学?」
 美春の手を掴んだまま、学もうつ伏せになって身体を伸ばす。彼女と同じ顔の高さになると、指に栗色の髪を絡め、唇を近付けた。
「俺が、剥いてあげる……」
 歯で巨峰を潰し、実を押し出すと、唇を重ね、美春の口腔内へつるりと移す。口に中に残った皮から甘味を吸い出し、唾液ごと一緒に流し込んだ。
「……んっ……、甘……」
 呟いた唇の端から、紫がかった汁が垂れる。学の舌がそれを舐め上げ、深く唇を咥え込んできた。実を再び吸い出され、学が舌で潰してから戻される。
「ゥ……っ、んっ」
 移してもらった実を甘汁と一緒にごくりと飲み込むと、潰し足りない大きな実は、美春の喉を大きく動かし刺激した。
「可愛いよ……、美春……」
 口に残った皮を出し、代わりにもうひとつ口に入れて美春に吸い付く。さっきと同じ動きを繰り返すと、焦れた美春の両手が学の腕に添えられた。
「巨峰も甘いけど、美春の方が甘いな」:
「んふ……、バカっ……」
 はにかむ彼女を艶っぽい瞳で見詰め、捕り込んだまま問いかける。
「真面目に、俺の後ろ姿、好き?」
「好きっ。だって、腰からお尻の線が綺麗なのよ、カッコいいっていうのかな?」
「美春のお陰」
「どうして?」
 巨峰の器を横へずらし、美春を仰向けに転がすと、学は耳元に囁きながら体を重ねる。
「尻の大殿筋は、鍛え難い筋肉なんだ。トレーニング以外でソコを鍛えようと思ったら、一番有効なのがセックスの独特な動き。早い話が、よくセックスに興じる男は尻の形も良いワケ」
「ちょっ! 何それっ、恥ずかしいっ」
「本当だぞ? ちなみに水着姿くらいしか見た事ないだろうけど、田島も結構カッコいいんだぞ。涼香さんに訊いてみろ、『お尻の形綺麗?』って」
「きっ、訊ける訳が無いでしょうが! バカっ!」
 ムキになる美春を笑って押さえ込み、キスを落として彼女を誘う。
「大殿筋の、トレーニングしたいな……」
「……さっきまでしてたじゃない……」
「さっきはさっき……」
 何度目だろう。再びキスが落ちてくる。ふわりとした夢心地に浸って、このまま溺れてしまおうかと目論むが、ふと気になる事が思い浮かんだ。
「そういえば学、お父様の電話、なんか深刻だったけど……、何だったの?」
 すると学は唇を離し、真顔に戻って放ったらかしにされていたスマホを手に取ったのだ。
「忘れるところだった。ロシュティスの社長、既にこっちへ来ているらしいんだ」
「ええっ!!」
 
 驚いてしまうのも無理はない。
 こんな所で、いちゃついている場合ではないのではないか……。







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後書き

 こんにちは。玉紀直です。
 マニアックな視線で学君を眺めてしまった美春ちゃんではありますが……。
 綺麗な背中って、男性でも女性でも見惚れちゃいますよね?(え? ない?^^;)
 これは是非とも、信君にも裸でウロウロして頂きたい。(笑)

 大殿筋とかって、変な理屈で再び迫ろうとした学君ですが、その前にお仕事です。
 ロシュティスの社長は、来日が中止になったはずではなかったのでしょうか?

 では、次回!!




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