理想の恋愛 完璧な愛・第12部(完結編)

第14章2(彼女の身体の所有者)*R高

 ←第14章1(手放される理想) →第14章3(悲しみの波紋)

「あっ……」
 キスをしていた時よりも吐息が熱くなっているのが分かる。学の背中から腕を戻した美春は、彼のスーツのボタンを外し、既に雨が滲みてしまったシャツの上から硬い胸をまさぐった。
「学……、びしょ濡れだよ……」
「美春もな……」
 同じ行為を始めた学の手は、濡れてピッタリと貼り付いてしまったブラウスの上から、美春の胸をやんわり揉み上げる。
「海にでも飛び込んだみたいだ……。風邪ひくよ、脱がせてあげる……」
「ここで……?」
「駄目か?」
 答えを求めながらも、学の指はブラウスのボタンを外していく。本当にブラウスを脱がされてしまうのかと思った矢先、ブラジャーのフロントホックが弾かれ、押さえを失った乳房が、ふるりと震えながらこぼれ出した。
「どうしてブラジャーなの? ブラウス……、脱がせてくれるんじゃなかったの……?」
 その意味が分かっているのに訊ねてくる彼女を愛しげに見つめ、学は両手で乳房を包み込む。
「ほら……雨で冷たくなってる。濡れたブラジャーなんていつまでも着けているからだ」
「だから外したの?」
「そうだよ。当たり前だろう」
「冷たくなってる?」
「なってる……。凄く……」
 乳房を掴む手に力が入り、ビクリと美春の肩が震えた。違う意味で潤みかかった藍色の瞳が学を見つめ、必然の願いを口にする。
「温めてくれる……?」
 訊くまでもない。既に彼の指は、それを行おうと彼女の雨に濡れた乳首を捉えている。学は唇を片方に寄せ、吐息ごと共鳴した。
「もちろん……」

 咥えられた乳房が熱くなる。先端を舐め転がされ、美春は深く甘い吐息を漏らした。
「あ……はぁ……」
 乳房を掴んだ手は、乳首を指でこすり合わせながらじっくりと揉み込む。その動きは力強く、美春は微かな痛みを感じた。
「学、……ぁんっ、……もっと、強くして……」
 それでも彼女は更なる強い刺激を求める。学のネクタイを解き進め、彼のシャツをはだけて、くっきりと浮き出す鎖骨に強く吸いついた。
「もっと……、学、を……、私の身体に覚えさせて」
 吸い付く唇が、学の胸元に赤い刻印をつけていく。腕の付け根に吸い付き歯を立てると、彼の目元が歪み、皮膚に血が滲んだ。
「もっと……、“私”を学に沁み込ませて……」

 この愛が終わりかける危機感の中、キスから昂った気持ちは、身体の奥底に愛しい者を焼きつけようと互いを求め始める。
 危うい焦燥感の中で、ふたりの気持ちは情愛の気炎をあげた。

「美春……」
 美春の身体を鉄柵に押し付け、学は彼女の乳房を痛いくらいに嬲る。その感触を忘れまいとするかのように強く掴み、唇は幾度も柔肌を吸い、赤い花びらの刻印を散らした。
 それは、かつて美春が彼だけのものであるという証だった。だが……。
「こんなにキスマークばっかり付けてたら、アランは怒るかな?」
 失笑する学の言葉は、美春を切なく微笑ませる。明日アランの元へ行ったなら、あるいは明日でなくとも近いうち、美春はアランに抱かれることになるのだろうから……。
 それを、美春ならずとも、学も分かっているのだ。
 契約を条件として、学を追い詰めるほどに美春を欲したのだ。やっと手に入れた彼女を、ただ秘書として座らせておくはずもないではないか。おまけに“妻に”と望んでいるのだから。
「怒って……、キスマークが消えるまで、美春を抱かないかも……」
 笑い話のように希望を口にして、学は乳首に滴る雨を舐め、そのまま唇で引っ張る。
「あっ……、ぅん……んっ」
 痛みを伴う行為だ。いつもなら軽く頭を叩いて「もうっ」と拗ねるところだが、美春は学の頭を優しく抱いた。
「だったら……、一生消えないくらい、つけて……」
 胸に吸い付く唇が、より強く白い肌を赤く染める。あまりにもきつく吸いつき過ぎて、血が滲んでしまったのではないかと錯覚するほどだ。
「一生、私の身体に、学の痕が残るくらい……」

 儚い希望を口にし続ける美春。そんな中、学の本音が漏れる。
「……耐えられない」
 チリチリと痛む刻印の上にかかる吐息。過敏になった悲哀の証は、吐かれる嘆息から彼の苛立ちを悟る。
「美春が……、この身体が……、他の男に触られるなんて……」
 雨に濡れて、くっきりと浮き出るボディラインを両手でなぞり、腰から太腿へと下りた手は、尻の双丘を掴み揉む。だがすぐに、穿いていることさえ忘れてしまいそうなほど肌に密着するストッキングを裂き破るため、スカートを捲くり上げた。
「俺の美春が……、違う男のものになるなんて……」
 湿った繊維が裂かれていくなか、力強い手が内腿に回った。学の指は、何の躊躇いもなく無防備なショーツの傍らから潜り込んでいく。
「ココも、身体も、全部……、アランのものになる……。考えると気が狂いそうだ……。美春は、それでも良いのか?」
 薄い茂みをなぞって、下へ下へと縦線通りに進む指。柔肉から押し沈められてくるであろう指を想像して、身体が熱さを持ち始める中、美春はふと頬笑みに哀感を漂わせた。
 それはどこか諦めにも似た笑みだ。だが彼女は、幸せそうな声で、そのひと言を口にする。
「それでも私は……、一生学のものだよ。……この、心も、身体も、全部……」

 強がりであるのかもしれない。
 追い詰められた心が、狂い出してしまいたいほどの悲しみを耐え、持ち堪えようとする自制心を表したものなのかもしれない。
 それでも美春は、自分の根底にあるその気持ちを言葉にする。

「たとえ、何十回、何百回、学以外の男の人に抱かれようと……。私の心も身体も、……私が持っている愛も全部、学だけのものだから……。だって私は、“学の美春”でしょう? 小さな頃から、ずっと……」







人気ブログランキングへ




もくじ  3kaku_s_L.png 2017・短編集
もくじ  3kaku_s_L.png 溺愛マリッジ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のエトセトラ
総もくじ  3kaku_s_L.png 迷宮の天使*LS*
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋桜~さくら・シリーズ
総もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【第14章1(手放される理想)】へ  【第14章3(悲しみの波紋)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第14章1(手放される理想)】へ
  • 【第14章3(悲しみの波紋)】へ