理想の恋愛 完璧な愛・第12部(完結編)

第20章6(愛しい存在)*R18

 ←第20章5(ふたりきりのベッドで) →第20章7(ふたりきりの昼下がり)


「んっ……」
 ここまでくると、美春も“熱”の意味を理解し始める。
 与えられるであろう刺激に備えて身体を固めたが、唇が近付いた花芯に与えられたのは吸い付くような強い刺激ではなく、そよ風のような囁きだった。
「近付いただけで、俺まで熱くなるよ」
「学……」
「熱、……測ってやる」
 言葉から想像したのは、蜜窟に指を入れて「凄い熱」と微笑む学の姿。だが、美春の予想はまたしても裏切られた。
「あっ……ハァっ、んっ」
 ぴくんぴくんと跳ねるような啼き声をあげ、美春は思わず脚の間に沈んだ学の頭を押さえる。
「まな……ぶ……、ぅ、ンっ」
「ん……?」
 短い返事しか彼は返すことができない。なぜなら、学の舌が体温計代わりとなり、美春の膣口をくすぐり入り口付近でその熱さを探っているからだ。
「……熱、出てきたみたいだ」
 学の舌に反応して、全身がほんわりと温かくなってくるのを感じる。ついさっきまでバスルームにいたからという理屈だけでは説明しきれない熱が、身体の内側から湧き上がってくるのが分かった。
 熱の計測場を離れた舌は、もっと熱を上げさせようと、上部に控えた小さな蕾をノックする。その途端、学の頭に添えられていた美春の手が髪の毛をキュッと掴み、明らかな興奮を伝えた。
「美春は……、反応良すぎて、俺のほうが熱上がるよ……」
 いつものパターンなら、蕾から真珠が飛び出すほどに吸い付いて嬌声をあげさせるところだが、「病み上がりなんだから」という美春の主張を尊重したのか、学はただ優しく舌で舐めなぞるに留まる。
「ぁんっ……、んっ、や、ぁ……」
 それでも、美春の口からは可愛らしい嬌声が飛び出す。腰を僅かに焦れ動かし、学の舌が当たる部分を変えて快感をコントロールしているかのようだ。
「なぁ美春、熱を早く下げる方法、知ってるか?」
 何となくその言葉に続く学の行動が分かってしまう。美春は見当をつけながらもその答えは口にせず、わざと少しおどけてみせた。
「んー、葉山製薬のお薬飲むこと」
「おっ、名回答っ。さすがは俺の嫁」
 美春に合わせて学もおどけた返事を口にするが、敵もさるもの、ただでは終わらない。
「偉いから、御褒美な」
「えっ……え、あっ……」
 戸惑う必要はないのだが、彼の行動はあまりにも素早かった。
 脚の間から顔を上げると、いつものように焦らすことなく、すぐに彼の熱をあてがい挿入したのだ。
「まっ……な……、ぁぁっ、……あっ!」
「美春のナカ、本当に熱いな」
「学のほうが……熱……んっ、ぁっ……」
「そんなことないって。ほら」
 美春の両腿を膝に乗せ、押し付けるように腰を進める。
 息も詰まらんばかりの充溢感。押し上げてくる熱さに、美春は堪らず背を反らした。
「まなぶ……ぅ……あ……、ハァ……」
 下半身を包む熱さが、全身に火照りを回す。途切れる吐息は口腔で更に熱を溜めた。
「熱いだろう?」
 ゆっくりと律動しながら、学は上半身を重ねる。快感の吐息に震える唇に唇付け、彼女の熱さを舌で確認した。
「もっと、熱出させてやる……。発熱は、放出させないと治らないから」
「クスッ……、言うと思った」
「お見通し?」
「学のことだもん。私は何でも分かるよ」
 可愛い返しに学が微笑む。美春は全身を包み始めた快感と至福の中で、彼の肩から腕を回しキュッと抱きついた。
「だって……、心も身体も、いつも繋がってるもん」
 湧き上がり溢れ出す愛しさ。この気持ちの置き場をどこへ回せば良いのか、学でさえも迷ってしまいそうだ。
「愛してるよ、美春……」
 落としたキスは、さっきより濃厚だ。止まらない愛情のまま、徐々に強めの抽送が施され始め、美春は唇を愛撫される合間に熱い吐息を漏らし続けた。
「あ……ン……、溶けちゃいそう……」
「溶かしてやろうか」
「……私だけ?」
「俺も一緒に……」
 お互いの肌を、お互いの存在を、そしてお互いの熱を。
 何ひとつ逃がさず感じ合おうとするかのように、ふたりは密着したまま愛情の昂りを交わし、熱を与えあった。
 ときおり囁かれる愛の言葉は、更に美春を溶かしていく。
 激情のままに交わされる、激しいセックスではなかった。それは、最初にリクエストをした、優しい交わりだ。
 それでも、美春は心から昂まり、学も今まで得たことがなかったかのような陶酔感の中で彼女を感じ続けたのだ。
「愛してる……」
 至福の絶頂感の中で、その言葉を囁いたのは、ふたり同時だったかもしれない……。

 *****

「何を笑っているの?」
 彼女の楽しげな声は、一の心を明るくする。だが今の問いかけは少々意地悪なものだ。
 愛しの妻は、時々こうして“えたり”とばかりに、わざと気まずいとこを訊いてくる。
 病院のベッドに腰掛けるさくらの隣で、無意識のうちに上がっていた口元をつつかれた一は、彼女の肩を抱き寄せた。
「いや、さくらとこうしていられるのが、嬉しいだけだ」
「嘘」
「ん?」
「学のこと、考えていたのでしょう?」
 可愛い仕草と可愛い顔で確信をつく。やはりさくらは怖い。一は持病の笑い上戸が顔に出そうになるのを押し留め、正解とばかりに微笑んだ。
「……嬉しかったのだよ」
 そう口にして、一は学の姿を思い出す。生意気な算段を組んで、会社と家を捨てようとした息子。その反抗期を玉砕させたあの時。
「学が、……私を超えると言ってくれたことが……」

 とても穏やかな笑みを浮かべている一を見て、さくらも表情を和め、彼の胸に凭れ掛かった。
「当然だわ。……あの子は、一さんの息子ですもの。一さんが、最高の跡取りになるようにって育てたのよ。……貴方を追い越すくらい、完璧になってもらわなくちゃ困るわ」
 最高の跡取りを持とう。それは、葉山家に迎えられた十四歳の時、さくらが一に望まれた希望だった。

 その希望を、ふたりは叶えたのかもしれない。

「この先が、また楽しみだ」
 微笑みに細められた男の瞳が見るのは、きっと、そう遠くはない未来。
 最高の息子が、完璧な跡取りとして成長した姿。
 同じ姿を、嬉しさに滲んだ瞳の中に見るさくらを抱き寄せ、一は「ありがとう」と囁いた。

 ――――そして、息子の成長に感慨深いものを覚えている人物が、もうひとりいた……。







人気ブログランキングへ




もくじ  3kaku_s_L.png 2017・短編集
もくじ  3kaku_s_L.png 溺愛マリッジ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のエトセトラ
総もくじ  3kaku_s_L.png 迷宮の天使*LS*
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋桜~さくら・シリーズ
総もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【第20章5(ふたりきりのベッドで)】へ  【第20章7(ふたりきりの昼下がり)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第20章5(ふたりきりのベッドで)】へ
  • 【第20章7(ふたりきりの昼下がり)】へ