年下ですが貴女を好きになってもいいですか

第二章・年下は気持ち好いです!/5

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「鬼か……、あいつは……」
 乱れる息を整えながら、美涼はぽつりと呟く。
 本当に、軽くイってしまう一歩手前だった。
 指なんかでイかされては琉生を調子づかせるだけだと分かっていても、そんなことはどうでもいい、このまま続けてほしい。美涼の身体はきっとそんな反応をしていたと思う。
 琉生もおそらく、それには気づいていただろう。それなのに……
「いたぶって喜ぶタイプ……?」
 身体に巻いたタオルを胸で押さえたま、ころりと横向きになる。閉じた足の中央が、琉生の指の感触を残してじんじんと痺れていた。
 ふと思い出すのは、昨日、資料室での光景。
 絡みついていた女性を、まるで目の前でパタパタとうるさい蛾を追い払うがごとく突き放した彼。
 普段、少しチャラいが性格が悪いとは思ったことがなかった。だとすれば、これは琉生の性癖なのか。
(女を苛めて喜ぶ……変態……)
 自分で考えておいて笑いがこみ上げる。そうして琉生を心の中で蔑みながらも、脳裏に焼きついた表情が美涼を惑わせた。
 ――俺のキスで感じてくれたんなら、ちょっと嬉しいなーって思って。
 ……驚いてしまうほど嬉しそうなその顔は、ホッとしているようにも見えた。
 あれが琉生の本音なら、普段の彼とは印象が違いすぎる。
(それとも、エッチのときだけああいったかわいいタイプになるとか?)
 色々考えてみるが、悩んでみたところで分からない。
 今まで、時々話をする程度の先輩後輩でしかなかったのだ。琉生の本質がどんなものであるかなど、ましてやセックスのときに見せる顔など見当もつかない。
 考えるのはやめよう。諦めをつけてふうっと息を吐く。
 バスルームに琉生が入っていって、それほど時間はたっていない。彼はまだしばらく戻ってはこないだろう。
 乱れているバスタオルを巻き直そうと上半身を起こす。ベッドの端に座って足を下ろしたとき、慌ただしくバスルームのドアが開いた。
「美涼さん! お待たせっ!」
 見るからに身体も満足に拭いていない琉生が飛び出してくる。一応タオルは持っているが、速足で歩き始めてから腰に巻きだしたので、危なく彼自身が見えてしまうところだった。
 入浴に時間をかけない男性の話はよく聞く。しかしちょっと早すぎないだろうか。“スズメの行水”とはこのことか。
 琉生のような男なら、入浴に時間をかけて隅々まで洗ってくるタイプかと思っていた。
「は、早かったのね……」
 巻き直すこともできなかったタオルを、改めて胸のところで留め直す。すると、なぜが不安そうな顔をした琉生が美涼の両肩に手を置いた。
「み、美涼さんっ、どこ行くのっ」
「え? どこって……」
「なんで起きあがってんの。いい子にして待っててくださいねって言ったのに」
「タ、タオル巻き直そうと思っただけだけど?」
「タオル……?」
 美涼は小首を傾げる。琉生は、いったいなにを慌てているのだろう。
 目をぱちくりとさせて彼女を見ていた琉生は、ハアッと大きく安堵の息を吐き、脱力したように頭を下げた。
「……よかった……、どっかに行くつもりかと思った……」
「どっか、って……」
「俺が風呂に入ってるうちに、『やっぱり、やーめた』とか言って帰るんじゃないかって思って」
 美涼はなにかを言おうと口を開くが、言葉が出てこない。
 と、いうことは、琉生が早すぎるほど早くバスルームから出てきたのは、彼が入浴中に美涼が部屋から出ていってしまうのではと心配したからということなのだろうか。
 ベッドに腰掛ける美涼を見て慌てたのは、彼女が帰り支度を始めようとしているとでも思ったというところか。
(そんな心配しなくても……)
 いくらなんでも気にしすぎだ。ここまでついてきておきながら。あそこまでさせておきながら。それでも相手がシャワーを浴びている隙に帰ってしまうような薄情な女だと思われているのだろうか。
 いささか不満に思っていると、琉生がそろりと顔を上げ、にこりとはにかんだ。
「よかった……。美涼さん、いてくれて」
 ――この表情は、反則だ。
 またしてもドキリと高鳴る胸。すかさずキュッと鷲づかみにされた気分だ。
 連続して感じる琉生の隠れたかわいらしさ。なんとなく顔が緩みそうになる。
 しかし、そんな戸惑いを感じている自分を悟られるのもきまりが悪い。美涼は視線を横にそらして、わざと少し怒った声を出した。
「ちょ……ちょっと帰ろうかとも思ったわよ……。女をあんな状態にしたまま放置する男とか、最悪だし……」
「ん……。でも、恥ずかしくてさ」
「は? 恥ずかしいって、それは私のセリフじゃない」
「いや、あのさ……」
 美涼の不服に困った顔で笑うと、琉生は照れくさそうに視線を外す。
「……美涼さんと同じで……、やばいくらい濡れちゃってさ……」
「は?」
「すっげー恥ずかしいほど興奮して……、もう、ズボンまで染みてくるかと……」
「分かった! みなまで言うな!」
 琉生が言いたいことを悟り、美涼は彼の説明を止める。再び目があい、琉生は言葉を続けた。
「だからさ、恥ずかしいだろ? ガンガン攻めていってるふうなのに、俺がそんな状態になってるのなんて見られたら。……だから、美涼さんに気づかれないうちにバスルームに逃げこむしかなかったわけ」
 琉生がさっさと背を向けてバスルームへ引っこんでしまった理由が分かった。
 もしもそこまで興奮した状態になっていなかったら、彼はあのままコトに及んでいたのだろうか。
 琉生が美涼を放置したのは、意地悪をして嬉しいからではない。
 ――照れ隠しだ。
(なんなのよ……もう……)
 身体が我慢できなくなりかかっていたという意味では、男として、琉生のほうが恥ずかしいだろう。
 しかし、それ以上に美涼のほうが照れくさい。
 つまりそれだけ、彼は美涼に触れて、感じ興奮したということなのだ。
「ば、バカね……。そんなこと、恥ずかしがらなくたっていいじゃない……」
「だって。かっこつけたいでしょ? 美涼さんに、余裕なくてかっこ悪いとこ見せたくないし」
「と、年下だからって、無理するんじゃないわよっ」
 琉生は無理をしているわけじゃない。
 心からそう思ってくれている。美涼に、かっこ悪いところは見せたくないと。それが、言葉と表情から汲み取ることができる。
 その気持ちを受け入れることに戸惑い、照れてしまっているのは美涼のほう。
 分かっている。でも、美涼はどうしたらいいか分からない。照れくささは増すばかりだ。
 戸惑う気持ちは、意地を張ることでしか逃げ道を見つけられない。
 美涼は琉生から視線を外すと、彼が腰に巻いているタオルに手をかけた。
「せっかくイイ感じになってたんでしょう? 落ち着いちゃったんじゃないの?」
「え……、み、美涼さん……?」
 彼女のいきなりの行動に、琉生は一瞬慌てる。彼が美涼の肩から手を離すのと、美涼が彼の腰からタオルを落とすのとが同時だった。
 カウパー腺液を垂らすほどの元気はなくなっているものの、それなりに復活しかかった彼自身が目の前に現れる。
 チャラ男にしては頼り甲斐がありそうじゃないのと心の中で強がり、美涼はそれを両手で包んだ。
「て、手がかかるわねぇ……。戻してあげるわよ」
「美涼さん……」
 彼女がやろうとしていることに、琉生は少々戸惑っているようだ。彼が驚いているという事実にわずかな優越感を得ながら、美涼は傾けた先端を口に含んだ。
「みっ……」
 ぴくりっと、手の中の彼が震える。琉生が感じたのだと分かり、ぞくりとした満足感が身体に満ちた。
 舌先を雁首で回し、そのまま裏筋に沿ってゆっくり上下させる。琉生の熱がどんどん上がっていくのが、添えた手のひらから伝わってきた。
 舌の動きはそのままに、片手で彼自身を軽く揉みながら根元へと進め、そこにあるマシュマロのような感触を手の中でやわやわと揉みこむ。
 そうすると、琉生がなにかに耐えるように大きく息を吐く。彼の気持ちを代弁し、片手を添えている琉生自身は、掴んでいなくとも自立するほどに力強くなった。
 硬く勃ち上がったそれを、わずかに手前へ倒しつつ先端を咥えこみ、吸いつきながら口に含んでいく。あまり倒しては琉生が苦しいかもしれないと感じるほど硬い。
 口淫をしやすいよう腰を浮かそうとすると、それに気がついたらしい琉生が前屈みになり腰を下げてくれた。
 座っている美涼にはちょうどよいが、この体勢は彼が辛いのでは。そう思ったとき、琉生の手が美涼のタオルを外す。はらりと落ちた布から形のよい隆起を描いたふくらみが零れると、すぐに彼の両手が添えられた。
 両のふくらみを脇から持ち上げ、手の中で弾ませる。ふるふると揺らされているだけなのに、それだけで気持ちが昂った。
 手のひらを添えたまま、琉生の親指が頂を擦る。くすぐったさにも似た疼きが走り、美涼は思わず上半身を引くが、それで彼の手が離れるはずもない。
 与えられる刺激に触発されて、美涼の口淫も激しくなる。いったん口いっぱいに含んだ熱棒を、じゅるっと音をたてて吸いつきながら抜いていく。先端で唇を止め、雁首を歯で横に擦ってから、また中ほどまで含み舌でぐるりと舐め回した。
「美涼さ……、ヤバっ……」
 苦笑する呟きが聞こえる。美涼の口淫がやばいのか、それとも琉生が我慢できなくてまずいのか、それは分からない。ただその直後から、乳房を触る琉生の手つきが激しくなった。
 擦られていた頂の突起が芯を持ってきたのが分かる。それをつままれ、くにくにとこねられると、美涼の喉が「んっ……」と切ない呻きをあげた。
 すると琉生が、美涼の頭に手を添え腰を引いていく。
「もういいよ……美涼さん。戻ったし……。これ以上咥えられたら、デそうだ……」
 口腔を満たしていた滾りが抜けていく。琉生の腹部を叩かんばかりに熱り勃ったそれが目に入り、自分が仕掛けたこととはいえ美涼は刹那恥ずかしくなった。
「美涼さん、積極的」
「な、なによ……。だから、イヤなら……」
「イヤなわけないじゃん」
 中腰になった琉生の顔が迫り、美涼に身体に腕が回される。
「……ずっげー、……嬉しいのに……」
 くすぐったくなるような囁きと共に唇が重なり、そのまま、ふたりの身体がベッドに沈んだ。


*次回更新、10月15日予定






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