2017・短編集

視姦公園

 ←『休憩室』早くも一週間…… →1/10 改稿した短編です

早朝の公園。ちょっとした興味本位から欲情を抑えられなくなった二人。
彼は「外」という場所に昂ぶり、彼女は「誰かに見られているかもしれない」という状況に悶えあがる。
見られているはずはない。

けれど……

……本当に、誰も見ていなかったのだろうか……

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早朝 公園 野外 視姦 恋人同士 いつもと違うセックス 中出し R18 短編

********************

「あーあ、朝、寝起きでヤりたかったなぁ」
 あまりにも素直な男の本音を聞いた遠藤清美《えんどうきよみ》は、横を歩く戸川満《とがわみつる》の腕を肘で突いた。
「戸川君ってば……、もぅっ」
 咎める口調だが、清美の顔ははにかみで満ちている。内心同意していても、この場合は言葉の恥かしさに一応責めてみた、というところだろう。
「だってさ、いつもは朝もするじゃん。清美だってしたかっただろ?」
「やっ……やぁねっ、しょうがないでしょう。これ、買いに行かなくちゃならなかったんだから」
 不満そうな満に向けて、清美は手に持ったコンビニ袋を掲げて見せる。中に入っているのは、ふたり分のサンドイッチとサラダ。満も同じ袋を持っていて、中には一リットル紙パックの牛乳とアイスコーヒーが入っている。
「急にお泊まりしちゃったから……、朝ご飯用になにも買ってなかったし……。戸川君の部屋の冷蔵庫、なにも入ってないし」

 買い物帰りのふたりは社内恋愛中。
 大学を卒業後、同期入社した会社で知り合い、つきあうようになった。しかしそのことを、周囲には秘密にしている。
 小さな会社なので、同期はふたりだけ。そのぶん先輩が多く、新人はなにかと話のネタにされがちだ。
 同期入社同士でくっついた、などと知られれば、さぞ面白がって根ほり葉ほりきいてくるだろう。
 それが面倒で秘密の社内恋愛を続けているのだった。

 昨夜は満の部屋で夕食を作って一緒に食べ、適当な時間で帰るつもりだった。
 しかし結局は一夜を明かしてしまったのである。
 泊まるつもりで行くときは、朝食用に食材を買っていく。今回はなんの用意もしていない。満は若い男のひとり暮らしだ。もちろんまともな食材が揃っているはずもない。
 そこで早朝目が覚めたところで起き出し、歩いて約十分の場所に建つコンビニへ朝食を買いに来たのだ。

「あー、ねみぃっ。食ったら眠気覚ましにヤろうか?」
「んもぅ、バカっ。そのまま寝ちゃったらどうすんのっ。ふたり揃って会社に遅刻、なんて、変な詮索入れられちゃうよ」
 どうやら満の性欲は冗談ではなく本気らしい。時刻はまだ朝の四時だ。眠いのも無理はない。
 初夏の早朝四時はほどほどに明るいとはいえ、普通はまだベッドの中にいる時間だろう。
 こんなに早く買い物に出たのにも理由はある。このコンビニの周辺には会社の先輩が数人住んでいるので、一般的に人が起き出す時間に買い物にくると見つかるおそれがあるのだ。
(ああ、なんか面倒……。早く新人が入ってきて詮索地獄から解放されないかなぁ……)
 清美は溜息と共に肩を落とすが、入社してまだ三ヶ月ほどしかたってはいないのだから、新人が入ってくれるのはまだまだ先だ。

「清美、近道しようぜ」
 満が先にある公園を親指でしゃくる。確かにここを斜めに通って行けば近道になる。特に反対を唱えることもなく、清美は彼のあとをついていった。
 早朝の公園に人影はない。
 数台設置されている遊具や砂場、昼間なら子どもたちの姿もあるのだろう。公園内を囲むように立ち並ぶ木々が、まるでこのスペースだけを隔離してしまっているかのようだ。
 木々の前には数台のベンチ。最近入れ替えがあったらしく真新しい。腰掛ける部分が背もたれからなだらかな曲線で繋がるデザインで、おしゃれな雰囲気を持つ椅子だ。

「あっ!」
 そのベンチとジャングルジムのあいだを抜けようとしたとき、満が驚いた声を出して立ち止まった。
「なに? どしたの?」
 清美が彼を見ると、満はベンチを見つめている。このベンチになにかおかしなところでもあるのだろうかと首を傾げると、満はベンチの前で屈み、その下を覗きこんだ。
「清美、清美、ちょっとコレ、見てみろよ」
 覗きこんだまま清美を手招く。わけが分からないまま、彼女も身を屈め同じようにベンチの下を覗きこんだ。
「あっ……」
 思わず声があがり、脳が“それ”を確認すると恥かしさに目をそらす。
 ベンチの下に落ちていたのは、伸びたゴム風船のような物体。ご丁寧にも中央を一結びしてあり、いかにも使用済の様相をさらしている。

 どこから見ても、それは使用済みのコンドームだ。

「ぅわっ、昨日の夜かな、ここでヤったやつらがいるんだぜ。捨てるんならゴミ箱に捨てろよな。……ってか、律儀に持って歩いてんのかな。ゴム」
「しっ、知らないよぉ、そんなのっ」
「それともここでヤるつもりで持ってた……とか」
「もぅっ、いいじゃない、そんなのどうだってっ」
 この場所で咋夜セックスに及んだ男女がいる。使用済みのコンドームを見つけたうえでそう考えると、なんとも生々しい。
 満は興味があるのか、どういう経過でこうなったのかを詮索するが、清美はそんなことを考えるのも恥ずかしい。
 だいたい、公園で性行為に及ぶなど普通では考えられないと思う。

 清美はそらした目をベンチへと移した。
(このベンチで、したのかしら……)
 ちょっと身体が熱くなる。このベンチでどうやってしたのかを想像しようとした瞬間、どこか淫猥な気持ちに襲われるが、彼女はそれを胸に隠した。

「このベンチでしたのよね……。いやぁね、こんなに狭いのに。落ちそうになってソレどころじゃなかったんじゃない?」
 適当に話題を振って早々にこの場から立ち去ろう。そう考えた清美だが、彼女のひとことは余計に満の好奇心を誘った。
「別に、寝転がらなくてもできるよ」
 彼はそう言いながらベンチに腰を下ろし、コンビニ袋を横に置いて両手で膝を叩く。
「清美。ここに座れよ」
「は?」
 変わったベンチだから座ってみたかったのだろうか、としか思わなかった清美は、満の言葉に不審げな声を出す。
「いいからっ。ここ、座れって」
「う、うん……」
 わけがわからないまま、清美は自分が持っていたコンビニ袋をベンチの上へ置き、満の膝に腰を下ろした。
「おっ、重い、とか言わないでよっ」
 清美はどちらかといえば華奢な体つきだ。セックスで騎乗位になっても決して重くはない。腰を下ろしたといっても膝の先にお尻をのせた程度なので、重さなどほとんど感じないだろう。
 すると満は、清美の腰をうしろから両腕で抱き、自分の腰にグイッと引き寄せた。
「きゃっ……、やっ、ちょっ、戸川君っっ」
 いきなり身体を引かれたので、清美の足は浮いたついでに広がり、満の膝を跨ぐような格好になる。彼女は慌ててフレアースカートの前を押さえた。
「なっ、なによっ。やーねっ」
 まくれ上がったわけではないが、体勢自体に恥ずかしさがある。
「ほら、こうやってヤったんだよ。きっと」
「え?」
 膝にのせられた意味が、やっと分かった。
 つまりはベンチに座って、男の上に女が座る背面座位でセックスに及んだのだろうという予想を、「どうやって?」と不振がった清美に示したのだ。
「これだったらベンチでできるしさ」
「でも、こんな所で落ち着かないわよね。夜だから誰もいなかったのかもしれないけど、誰かに見られるかもしれないって思ったら、女のほうだって感じるものも感じないよ」

 清美はちょっと苦笑いだ。こんな所でこんな恥かしい話をしていないで、早く帰ろう。そう思ったとき、腰を抱いていた満の手がカットソーの裾から中へ入ってきた。
「……やっ、ちょっと、……戸川く……」
 スカートを押さえていた清美の両手が、満の腕を押さえる。しかしカットソーの中へ潜りこんだ彼の手は、すでにブラジャーの上から彼女の両胸を捉えていた。
「ちょっとぉ……、やだ、なにしてんの……」
 気持ちの中で慌てつつも、肩越しに振り返り作り笑いを見せる。しかし満はブラジャーのカップを下げ、清美の胸のふくらみを裾野から持ち上げたまま両の頂をつまんだ。
「あ……ンっ、やっ……」
 親指と人差し指を擦り動かし、柔らかな突起を刺激する。すぐに硬くなり始めたのを確認して、満は清美に尋ねた。
「どう? 感じる?」
「かんじ……、ちょっ、……やだぁ……」
「感じるよな。……乳首、すぐ硬くなったし……」
「あ……ッ、ちょっとぉっ……」
 満の両手は、突起を指で擦り続けながら大きく乳房を回し揉む。
「ン……ンッ、ぁっ……」
 清美は思わず上半身を伸ばし、彼に寄りかかるように背を反らしてしまった。すると彼女のカットソーが胸の上までまくられる。 
「あ、ン……、ちょっとぉ……」
 さっきから同じような言葉しか出てこない。まくり上げられたカットソーからは、両の乳房が丸出しだ。満は、その状態で硬く凝った乳首を嬲った。
「やっ! あっ……、アッ、戸川く、んっ、やめてよぉ……」
「な? 感じるだろ? こういう所でしても感じるんだよ」
 清美が、こんな所じゃ感じないと言ったことを言っているのだろう。
 こんな場所でも感じるものは感じるんだ、と教えたかったのかもしれないが、琴美は恥ずかしいうえに落ち着かない。

「わっ、わかった、……わかったからぁっ。……でも、わたしは、誰か見てるかもしれないと思ったら、感じるものも感じない、って言ったんだよぉ」
 すると、満の両手が乳房を鷲づかみにしたまま止まり、少々熱を帯びた彼の声が清美の耳に流れこんだ。
「わかんないぜ。今だって、誰か見てるかも……。ほら、目の前にジャングルジムがあるから見えづらいけど、この向こうの茂みとか、周りの樹の陰とかに誰かがいて……おれ達を見てるかも……」
「や……、やめてよ……」
「見てるよきっと……。清美が胸揉まれて感じてる顔とか……」
「やっ……」

 耳から入りこむ熱い刺激。
 風が揺らす木々の音が見知らぬ傍観者の身動きに感じられたとき、下半身に熱い痺れが走る。

「清美……」
 なにかを求める声と共に満の下半身が押しつけられ、痛いくらいに突き上がった塊を太腿に感じる。広がった清美の内腿が、キュッと緊張した。
「や……、やめっ、……戸川く、ん……あゥ……ンッ……」

 周囲が静かなせいだろうか。
 自分の口から出る声が、妙に響いて聞こえているような気がして恥ずかしい。

 朝の公園に人影はなく、ベンチに座る満と清美、ふたりだけだ。

 いや、ふたりきりと思っているだけで、もしかすると誰かが物影や公園を取り囲む木々の間から見ているのかもしれない。
 ――満の膝に座り、足を大きく広げさせられた清美が、ショーツの横から手を入れられ、そこをとんでもなく潤わせている姿を。

「あんっ、やっ、あっあっ……」
「外だから興奮してる? すっごぃ、ビチャビチャじゃん、清美……」
「や、だぁ……、あっ、指……、ゆびぃ……」
「指? 入ってるよ。二本。ほら」
 満の中指と人差し指が、その存在を主張するかのように深く挿しこまれる。根元まで到達させると、彼は何度もくるくると指をひねり、彼女の蕩けそうに熱く潤んだ蜜路を刺激した。

「あっ! んっ、やっ、……もっと、やさしくぅ……っ、あぅンッ!」
「嘘だぁ。清美のナカ、激しくして欲しくてビクビクしてるのに」
「やだ、ぁっ、あっ……戸川……く……」
 満は自分の気持ちのままに清美の中を探り、もう片方の手で乳房をこね回しながら彼女の耳朶を舐めた。
「清美……きもちいい……。いつもと違うのも……いいな」
「もぅっ、ダメよぉ……、こんな所で……」
 これ以上は駄目だ。このまま満の欲望に従っていたら、もしかしたらここで……。という事態になりかねない。
 清美は満の愛撫に悶えながらも、ほんの少し残った理性で彼の手を止めようと足のあいだへ手を伸ばす。
「あ……」
 しかし暴れる手を掴もうと伸ばした指に触れたのは、もう当然のように収まりがつかなくなっている満の熱い滾り。
 その硬さを感じるズボンの一部が、すでに湿っている。彼がかなり興奮しているのだと悟った清美は、手に触れてしまった部分をこするように撫で回す。その瞬間、痛いくらいに乳房を握られた。
「あっ、やっ……あンッ」

「しようか。清美……」
 目の前には大きなジャングルジムがある。清美の腰を抱いたままベンチから下りた満は、彼女をそこのパーツに掴まらせ、腰をうしろへ突き出させた。
「ホントに、するの?」
 身体は疼きあがっているのに、我ながら往生際が悪いと思う。
 そんな彼女のスカートをまくり上げ、満は膝までズボンを下ろす。彼女が欲しくて紅潮した塊を、ショーツをずらしたその横から挿しこんでいった。
「あっ、……んっ、んっ……」
「ぅあっ、たまんね……」
 清美の腰を両手で掴み、引き寄せながら抽送する。最初の数回ゆっくりだったものは、すぐに打ちつける肌の音と共に激しさを増した。

「あは……ぁぁン! やっ、あ、い……ぃっ……!」
 疼く場所に加えられる快感。初めて経験する野外でのセックスに興奮を覚えているのか、満の動きはいつもより乱暴にも感じる。
「あ、やっ、ぁぅっ……んっ、んっ、……やぁんっっ!」
 しかし興奮を覚えているのは清美も同じだ。ジャングルジムのパーツに力一杯両手で掴まり、彼女は上半身を揺らして身悶えた。

 満は腰を使いながら清美の背に覆いかぶさり、顔を近づける。
 肩越しに振り返った彼女と唾液が垂れ落ちてしまうことも構わずに舌を絡めあい、ひと突きごと上下に揺れる乳房を揉みしだいた。
「ふぁ……ぁぁッ、ぃ……いい、よぉ……戸川……く」
「キモチイイよな? こんなトコで……、誰か見てるかもしれないのに……。清美はエロいなぁ……」
「やっ、だって……、キモチ、イイ……、あぁっ!」
「誰か見てるぞ、きっと……。清美の声聞いて、……突っこまれてヨがってるところ見てさ、朝っぱらから女抱きたくて堪んなくなってるんだ、きっと……」
「やだぁ……、やめよ……、あぁっ!」
「もっと見せてやれよ。清美のエロい恰好……。ほらっ……」
 身を起こし、腰を強く入れこむ。腰を打ちつけ、ぶつかるお尻が赤くなってしまいそうなほどの激しさで欲情する満に攻められ、清美は足の力が抜けそうになった。
「やっぁあ……だめっ……、やぁん、イイッ……!」

(誰か? 見てる……?)

 朝の公園の中。
 清美は幻覚を見る。

 ジャングルジムの向こう。遊具の物陰から。周囲を囲む木々の隙間から。こっそりと誰かが見ている。

 満に熱く滾る楔を打ちこまれて悶える清美の姿を、息を荒げながら見ている。
 見ているだけでは物足りなくて、その手で自分の熱くなったモノを握り締めているのかもしれない。

 清美のあられもない姿を見ながら……。誰かが……

「やああっんっっ、んっ!」
 おぞましささえ覚えてしまいそうな想像なのに、それはなぜか彼女の興奮を煽った。
「やっ、イイっ……。もっとぉっ……!」

 早朝の公園。

 寂とした空間に、男女の淫猥な息遣いと、女の抑えきれない淫声が響く。

 誰かに見られているかもしれないという思いと、初めての野外セックスに、ふたりの気持ちはおおいに昂った。
 想像で興奮してしまっているのは清美だけではないだろう。
 満もまた、自分の恋人が情欲に乱れる姿を他人に見られているのかもしれないという妄想が、いつも以上の興奮を誘い、こんな場所でも乱れてしまう彼女のいやらしさに欲望が煽られている。

「戸川く……、んっ! もっと……、あっ、もっとぉっ、あぁっんっ!」
 感じるあまり、清美はまともに立っていられない。
 満は一度彼女の中から抜け出ると再びベンチへと座り、向かい合わせで清美を跨がせた。
 さっきと同じようにショーツをずらし、そこから侵入してゆく。戸惑いながら腰を下ろす彼女より先に、自分から突き上げていった。
「あっ、くっ……ああっ!!」
 愛液で濡れるショーツが彼の内腿に接するたび、グチュグチュッと羞恥を誘う音をたてる。今のふたりにとっては、それさえも興奮の誘発剤だ。
「吸わせて……清美……」
 上ずる声を抑えることなく、満は目の前で揺れる清美の乳房にむしゃぶりつき、舌で乳首を大きく回した。
「ぁ、ふぅ……ぅん、あっ、気持ちイイ……、もっと、吸って……」
 乳首の先端だけにキュッと吸いつきながら引っ張ると、清美の背が大きく反る。上半身を焦らして悶える彼女の乳房を両手で寄せ、満は舌で交互に舐め吸った。
「やっ……だぁぁっ、イイよぉっ……、戸、川……くぅん……!」
 乳房に愛撫が集中すると満の腰の動きは少し落ちるが、反対に乳房への愛撫で焦れる清美が自分から腰を揺れ動かし、彼の腰の上で大きく跳ねる。
「あ、もぅ、だめぇ! ぁっ……、きもち、イイよぉっ!」
 清美の中が、我慢するなとでもいうように彼をきゅうきゅうと締めつける。しかし満もすでに限界だ。
「あっ、も、俺も……デるっ」
「やっ……ヤッ、アア、イクっ……、もぅ、だめぇ、イクよぉ……!」
 最後の快感を求めて、清美は自分から腰を前に擦り、彼にしがみつく。
 イクことだけを頭に、欲望のまま腰を動かす彼女。
 それを酷くいやらしく感じているのか、そんな彼女に満の欲望も煽られる。
「出すぞ……清……美っ、あ、もっ、デるっ……」
「キて……、あっ、もぅダメッ……ダメ、ダメェっ……。イクっ、イクからぁっっ!」
 伸び上がり背を反らす清美の身体をシッカリと抱き留め、逃がさないように腰を押し付けたまま、満は欲望を放つ。清美も最後の瞬間を感じて下肢をヒクつかせた。

「あは……っ、あっ……あっ……」
 余韻の声が唇から漏れ、続けて荒い息を何度も吐く。その唇にキスをして、満は彼女を抱き締めた。
「……ナカで出しちゃった……」
 その言葉と共に、清美は自分の中でピクピク蠢く彼を感じる。
 意識して動かしたのだとは思うが、今までの自分たちを思い、急に恥ずかしくなった。
「い……いいわよ……。しちゃったんだもん……、しょうがないでしょう?」
 清美はキュッと満に抱きつく。それは、赤く照れてしまった顔を隠す意味もあった。
「気持ち好かった? 清美……」
 愛しげな声で聞きながら髪を撫でてくれる満の問いに、清美はこくりと小さく頷いた。
「……ここで、エッチした人の気持ち、ちょっと分かった」
「ナマだったから、余計に気持ち好かったよな」
「ばかっ、今回だけだからねっ」
 清美は、気持ち好かったしたまにはいいかなと考えながらも、調子に乗りそうな満に釘を刺す。

 ふたりはしばらくそのままで抱きあい、余韻を感じあうが、突然ぽつりと満が不吉な言葉を口にした。
「ホントに……、見られてなかったかな……」
「え?」
「してるときさ、風なんか吹いてないのに、茂みが動いた気がしないでもないんだよな……」
 満から身体を離し、清美は慌てる。
「やっ、やめてよぉっ。そりゃぁ、そんな想像しなかったとは言わないけど、そんなっ……もしも知ってる人とかだったら最悪よっ」
「この辺、会社の人も住んでるしな」
「ちょっとぉっっ!」
 慌てはするが、この初経験の快感に魅力を感じたのも確かで……

 たまには、こんな刺激もいいかもしれない。

 心の中に、淫らな誘惑の芽が生まれてしまいそうな予感を、清美は感じていた。



   *END*






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